35.法人税

どくが君
法人税か〜個人事業主のボクもいずれ必要になるのかな?頑張って覚えなきゃ!
先生
前回からすっかりその流れだね。法人税は所得税と並んで、我が国で重要な税金だ。しっかりと学習しておこうね。

法人税とは

法人の所得金額などを課税標準として課される国税で、所得税と並んで税制度の中心となる税金。

所得金額の計算

  1. 会計上での利益:収益から費用を差し引いたもの。(利益)
  2. 税法上での利益:益金から損金を差し引いたもの。(所得金額)

※言葉は違うが、式は同じ。しかし、課税の関係で全く同じ値とはならない。

税務調整

上記の1と2の調整を行うこと。(会計上での利益をもとに所得金額とするための計算を行う)

この調整には以下の4つを用いる。

  • 益金算入
  • 益金不算入
  • 損金算入
  • 損金不算入 ← 1番ウェイトが大きい

益金算入・益金不算入

特定受贈益など(他の法人や個人などから、資産を贈与されたことによる経済的利益のこと)は益金算入

株式の配当金などは益金不算入

損金算入・損金不算入

交際費:

法人が得意先、取引先の者に対して、接待などをした場合の以下のような支出。

  • 接待などの飲食代(1人当たり5000円以上)
  • 接待などのタクシー代
  • お歳暮、お中元、お祝い金、香典など

※カレンダーなどは広告宣伝費、会議における弁当代などは会議代とされる。

上記のような交際費の内、以下の金額を損金算入できる。

資本金 損金算入限度額
1億円以下 年間交際費支出額の800万円以下の全額 or
年間交際費支出額の飲食支出額 × 50% を選択できる。
1億円超 年間交際費支出額の飲食支出額 × 50%

減価償却費:

所得税と同じく、定額法と定率法を選択できるが、選択しなかった場合は、所得税とは違い、定率法が選択される。

※建物の場合は所得税と同様に、定額法のみ。

小額減価償却、資産一括償却資産については、所得税と同様なので忘れた場合はこちらの減価償却費の欄をもう一度確認しよう。

租税公課:

税金や公の負担金のことで、損金算入できるものは以下のもの。

  • 法人事業税
  • 固定資産税
  • 印紙税
  • 不動産取得税 など

逆に以下のものは、損金不算入となる。

  • 法人税
  • 法人住民税
  • 過怠税(印紙税を納付しなかった場合の罰金)
  • その他罰金



役員給与:

以下のいずれかに該当する場合は損金算入できる。

  • 定期同額給与
  • 事前確定届出給与
  • 利益連動給与

寄付金:

一定額まで損金算入できる。

どくが君
要するに、事業に必要なものは損金算入できるけど、いきすぎた接待なんかは無理だよ〜ってことだね!
先生
そうだね。ここはそれを言葉でうまく細分化しているだけだ。基本的にそれで判断した後、判断が難しいものを都度覚えるようにすれば暗記する量が格段に減るはずだよ。

法人税の計算

基本的には25.5%だが、資本金により税率が異なる。

資本金 税率
1億円以下 800万円以下の部分:15%
800万円超の部分:25.5%
1億円超 25.5%

法人税の申告・納付

青色申告の特典を受けるためには『青色申告によって申告書を提出しようとする事業年度開始の日の前日』までに、青色申告承認申請書を提出しなければならない。

※新規設立法人の場合は、『設立の日以後3ヶ月を経過した日』と『当該事業年度終了の日』のうちいずれか早い日の前日まで。

確定申告

法人は原則、毎年確定申告をしなければならない。期限は決算日の翌日から2ヶ月以内である。

※法人税額が20万円を超えた場合には、翌期に中間申告が必要となる。期限は上半期終了の翌日から2ヶ月以内である。

※法人と役員の取引

法人が役員に対して無償で贈与を行ったり、本来よりも優遇された金額で提供した場合などは、その差額が給与としてみなされる。

実際の例はこちら

どくが君
25.5%か〜すごい割合だね!やっぱボクは個人事業主でいいや! 
先生
まぁ、それも一つの正しい選択だね。もちろんメリット・デメリットがあるからそれぞれを理解することが大切だ。どくが君がせっかく気になっていることだし、次の章ではそこにも触れてみようか。
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