損害保険とは
損害保険の原則
以前に学習した、大数の法則、収支相等の原則に加え、次の2つの基本原則がある。
給付・反対給付均等の原則:
リスクの危険度に応じて保険料を支払うこと。
利得禁止の原則:
損害以上の保険金を受け取ってはいけないこと。損失額を限度に保険金が支払われる(実損払い)。
以下で使用する、2つの言葉について覚えておこう。
保険金額:保険事故が起きた際に、保険会社が支払う限度額。
保険価額:保険事故が発生した際に、契約者が損害を受けた見積額。
超過保険
・保険金額 > 保険価額
損害額は全額支払われる。(→実損填補)
全部保険
・保険金額 = 保険価額
損害額は全額支払われる。(→実損填補)
一部保険
・保険金額 < 保険価額
保険金額と保険価額の割合で保険金が決まる。(→比例填補)
火災保険
火災による、建物や家財の損害を補償する保険。
住宅火災保険・住宅総合保険
損害の種類 | 住宅総合保険 | 住宅火災保険 |
火災・破裂・爆発 | ○ | ○ |
落雷 | ○ | ○ |
風災・ひょう災・雪災 | △ | △ |
水災 | △ | × |
外部から(自動車など)の飛来・落下・衝突 | ○ | × |
給排水設備事故による水濡れ | ○ | × |
騒じょうなどによる暴行・破壊 | ○ | × |
盗難 | ○ | × |
地震・噴火・津波 | × | × |
※△は損害額が、一定金額より高い場合(大きめの被害)のときに補償される。また、消防活動による水濡れはどちらも補償される。
火災保険の支払額
保険金額 > 保険価額 × 80% の場合:
損害額は全額支払われる。
保険金額 < 保険価額 × 80% の場合:
損害保険金 = 損害額 × 保険金額 / 保険価額 × 80%
地震保険
地震・噴火・津波という火災保険でカバーしきれない部分の保険。
- 基本的には火災保険とセットで加入。
- 建物と家財が補償対象。
- 保険金額は火災保険の30〜50%の範囲。(限度額は建物5000万円、家財1000万円)
- 保険期間は1年。火災保険が5年超の場合は、1年ごと、または5年ごとの自動継続が選択可能。
保険金
全損:保険金額の100%
半損:保険金額の50%
一部損:保険金額の5%
保険料
所在地の都道府県・建物の構造により決まる。
※条件が同じなら、保険会社が違う場合でも、保険料は同じ。
割引制度:
- 免震建築物割引
- 耐震診断割引
- 耐震等級割引
- 建築年割引
自動車保険
自動車保険には、強制加入の自賠責保険と、任意加入の民間保険がある。
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)
自動車を保有している際には、必ず加入しなければいけない保険。対人賠償事故のみを対象とし、被害者の損害のみを補償。(加害者、車などは補償されない)
死亡事故限度額:3000万円
障害事故限度額:120万円(※後遺障害の場合:75万円〜4000万円)
民間保険
賠償責任保険 | ・対人賠償保険 ・対物賠償保険 |
傷害保険 | ・搭乗者傷害保険 ・自損事故保険 ・無保険者傷害保険 ・人身傷害補償保険 |
車両保険 | ・車両保険 |
※詳しく知りたい人はこちらを参考にしよう。
傷害保険
事故などによりケガを負った結果、入院・通院・死亡となったり、後遺障害が残ったりした場合に保険金が支払われる保険。
普通傷害保険 | 日常生活で起こる傷害を補償する保険 ※病気・細菌性中毒・自殺・地震・噴火・津波を原因とする場合は対象外 |
家族傷害保険 | 日常生活で起こる家族の傷害を補償する保険 ※生計を一にする別居の未婚の子も対象 |
交通事故傷害保険 | 交通事故や建物・乗り物火災などによるケガを補償する保険 |
ファミリー交通事故傷害保険 | 交通事故や建物・乗り物火災などによる家族のケガを補償する保険 |
国内旅行傷害保険 | 国内旅行中の傷害を補償する保険 ※細菌性中毒は補償の対象 |
海外旅行傷害保険 | 国内旅行中の傷害を補償する保険 |
賠償責任保険
日常生活などで、偶発な事故により損害賠償責任を負った場合に補償される保険。
個人向け | 個人賠償責任保険 |
法人向け | 施設所有管理者賠償責任保険 |
請負業者賠償責任保険 | |
生産物賠償責任保険 |
※他にも多くあるが主なものだけ暗記しよう。興味がある人はこちら
損害保険の税金
地震保険料控除
所得税:払込保険料の全額(最高50000円)
住民税:払込保険料 × 1/2(最高25000円)
※保険金を受け取った際には、非課税。(一部例外あり)
法人が支払った保険金の経済処理
基本的には、損金算入。満期返戻金付きの契約の場合は、積立部分の保険料を試算計上する。
※個人事業主の場合は、全額必要経費として処理。
法人が受け取った保険金の経済処理
基本的には、益金算入。(法人税の課税対象)
※保険料が資産計上されている場合は、保険金から資産計上額を差し引くことができる。
圧縮記帳
国庫補助金や火災による保険金などの金銭を受けて固定資産を購入した際、その購入価額から補助金の額を控除して購入価額とすること。