生命保険契約
生命保険の責任開始日
保険会社が、保険金を支払う義務が発生する開始日のこと。
これは「申込み」「告知・診査」「第一回保険料の払込み」の3つすべてが完了したときとなる。
保険料の猶予期間
保険料の支払い方法には、年払い、月払い、半年払いなど多数存在するが、支払いを滞納してすぐに契約解除されるわけではない。
払込期月 | 払込猶予期間 | |
月払い | 月ごとの契約応当日の属する月の1日から末日まで | 払込期月の翌月の1日から末日まで |
半年払い | 半年ごとの契約応当日の属する月の1日から末日まで | 払込期月の翌月の1日から 翌々月の月単位の契約応当日まで |
年払い | 年ごとの契約応当日の属する月の1日から末日まで |
※2/22が契約応答日の場合、月払いでは3/31まで。半年払い、年払いでは4/22までが猶予期間となる。
猶予期間中に保険料を支払わない場合は、契約が失効し、さらに失効後に、所定の手続きを行えば、契約を復活させることもできる。もちろん、未払いの保険料は支払わなければならない。
※自動振替貸付制度
保険料の払込みがなかった際に、保険会社が解約返戻金を限度とし、保険料を立て替えてくれる制度がある。
保険の見直し
保険は経済的事情や、家族構成の変更など、それぞれに合ったものに見直す必要がある。
例えば、結婚した時、子どもが生まれたとき、より多くの保険料を払込むことが多い。
払済保険
保険料の払込期間が終わっていないのに払込みを中止し、以後の保険料を払込まないかわりに、保障額(保険金額)を下げた保険に変更したもの。
- 契約期間は同じまま。
- 保険金額は下がる。
- 特約は消滅する。
延長保険
それまで入っていた保険の払込みを中止・解約して得られる解約返戻金を元手に、解約前と同額の定期死亡保障に入り直すこと。
- 契約期間は短くなる。
- 保険金額は同額。
- 特約は消滅する。
※契約転換制度や契約者貸付制度もある。
生命保険料控除
生命保険料控除額(所得税の最高額)
生命保険料控除 | 個人年金保険料控除 | 介護保険料控除 | 計 | |
〜平成23 | 50000円 | 50000円 | – | 100000円 |
平成24〜 | 40000円 | 40000円 | 40000円 | 120000円 |
※住民税は、H23以前が35000円、H24以降が28000円である。
・細かい計算までは覚える必要はないが、時間に余裕があればこちらも目を通しておこう。
個人年金保険料控除
- 年金の受取人は、保険料の払込みをする者(=契約者)、又はその配偶者となっている契約であること。
- 年金受取人は被保険者(保障の対象者)と同一人であること。
- 保険料払込期間が10年以上であること。
- 年金の種類が確定年金の場合、年金支払開始日における被保険者の年齢は60歳以上で、かつ年金支払期間が10年以上であること。
が個人年金保険量料控除を受けられる条件である。
保険料の税金
死亡保険金の課税イメージ
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金 |
夫 | 夫 | 妻 | 相続税 |
夫 | 妻 | 夫 | 所得税 |
夫 | 妻 | 子 | 贈与税 |
満期保険金、解約返戻金の課税イメージ
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金 |
夫 | 誰でも OK |
夫 | 所得税 |
夫 | 妻 | 贈与税 |
※保険期間が5年以下の一時払養老保険等の満期保険金は、20%(所得税15%、住民税5%)の源泉分離課税となる。
個人年金保険の課税イメージ
死亡給付金の場合:
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金 |
夫 | 夫 | 妻 | 相続税 |
夫 | 妻 | 夫 | 所得税 |
夫 | 妻 | 子 | 贈与税 |
年金受給権の発生時の場合:
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金 |
夫 | 誰でも OK |
夫 | 贈与税 |
夫 | 妻 | 非課税 |
年金受取時の場合:
基本的に所得税(雑所得)。一括で受け取る際には、所得税(一時所得)となる。
非課税のもの
- 入院給付金
- 特定障害保険金
- 手術給付金
- 高度障害保険金
- リビングニーズ特約保険金
など。
税金の計算
相続税の計算法
非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数
贈与税の計算法
110万円の基礎控除
所得税(一時所得)の計算法
(保険金 – 払込保険料) – 50万円
所得税(雑所得)の計算法
年内に受け取る年金額 – 必要経費
生命保険契約の権利引き継ぎ
生命保険契約者が(例えば夫が)死亡した場合は、別の者(妻)に権利を引き継ぐことができる。
この際に、解約返戻金が生命保険契約に関する権利の評価額となる。
法人契約の生命保険
ハーフタックスプラン(1/2養老保険)
一定の要件を満たすと、養老保険の支払保険料の1/2を経費として、損金算入(福利厚生費)することができる。
※残りの1/2を資産計上(保険料積立金)する。
長期平準定期保険
一定の要件を満たした、期間の長い保険は定期保険のことで、保険期間が 非常に長く、終身保険に近い死亡保障が得られるもの。
前半6割の期間:1/2が損金算入、1/2が資産計上
後半4割の期間:全額損金算入
個人年金保険
死亡給付金の受取人 | 年金の受取人 | 経済処理 |
法人 | 法人 | 資産計上 |
労働者の遺族 | 労働者 | 給与 |
労働者の遺族 | 法人 | 90%が資産計上、10%が損金算入。 |
※労働者 = 役員 or 従業員とする。
法人が支払った保険料の経済処理
定期保険、特約:損金算入
養老保険、終身保険、年金保険:資産計上
※保険金の受取人が被保険者やその遺族の場合は給料とみなされ、損金算入。
法人が受け取った保険金の経済処理
全額、益金算入(雑収入)、法人税の課税対象となる。
※保険料が資産計上されている場合は、資産勘定されている部分を保険金から差し引くことができる。